セミリタイア模索中”はるもえ”@harumoe1106です。
セミリタイアに近づけるのでは?という本に出合ったのでこちらで紹介。
もくじ
著者・秋山哲とは
USJのマーケティングディレクターであり、個人投資家。
記憶があやふやなのですが、森岡毅著『USJのジェットコースターはなぜ後ろ向きに走ったのか?』で共にUSJの改革を進めた人で登場していました。
著書の内容
自分自身のメモとして箇条書きしたのですが、再現できるだけあって情報がいっぱいになりました。
購入の三原則:長期安定性・安全・割安
長期安定性
①過去3〜5年をみる。
売上・営業利益が増加している。
経常利益は企業全体の業績トレンドをみる指標
純利益は今後の成長の原資になるので、重要な利益指標
目標:毎年20%の資産増加
売上・営業利益・経常利益・純利益が年間成長率が20%以上
②過去の業績から強みを特定する。
既存・新規事業(事業開始から1〜2年程度)をみる。
既存事業:企業の成長率>業界全体の成長率
強み:商品開発力・価格競争力・販売力・マーケティング力・マネジメント力
商品開発力 例アップル製品
価格競争力 例格安スマホ
販売力 例販売ネットワークを広く持っている。簡単で美味しい料理の作り方を伝えるスーパー販売員
マーケティング力 例顧客のインサイトを見極め解決策を商品開発に反映し、伝達、値付け、販売網構築
マネジメント力 組織として成果を追求する力 例社内発の新規事業が展開されている
強みの特定方法
(1)「会社説明資料」を見る。企業の強みが数値の裏付けとともに語られている場合、その企業の売上成長率が業界成長率を上回っていることを前提に、強みとして特定できる可能性が高くなる。
(2)IRへの問い合わせ⇒業界成長率を上回っている理由、その理由は他社に真似できないのか、それはなぜかを聞く⇒納得できれば強み
③企業の強みと成長は今後も継続するのかを見極める⇒マクロとミクロ環境で考える
マクロ環境⇒日々のニュース・新聞+業界に関係する規制(企業の決算資料や会社説明資料に大半は記載)など
ミクロ環境⇒市場・競合・自社(3Cと言う)
企業がどのライフ・サイクル・ステージにあるか、をみる。
企業の平均寿命は40~45歳と推定される。
サイクル
1創世記 事業立ち上げのため先行投資。売上少なく、キャッシュフローはマイナス。
2成長期 売上拡大するも供給が需要に追いつかないためさらに投資も継続中。
3成熟期 需要と供給がバランスし始め、投資は減少傾向。売上と利益は最大化。
4淘汰期 顧客の嗜好性の変化・業界内外の競合が激しくなり、売上減少傾向に。競合環境が激しい中で設備投資も継続するので、利益も減少傾向。
5衰退期 売上減少が加速。資産売却が始まり、一過性の利益計上はあるものの、売上・利益は最小化。最終的に企業は寿命を全う。
長期投資において、企業が成熟期に入っていないかを見極める。→過去3〜5年間の投資キャッシュフローが増加傾向なら、まだ成熟期に入っていないと考えられる。業態によっては継続的な投資が必要なので、何に投資しているかも確認。成長のためなら大丈夫。
ライフサイクル考察でもう一つ重要なこと。経営改革。
1.自社の強みと好環境を活用した新規事業の展開
2.自社の強みを活用した既存事業における新規顧客の獲得
3.自社の強みと他社の強みを活かした連携・買収による既存事業の強化、および新規事業の展開
複数の事業を展開している中に赤字を抱えている企業を著者は好む。赤字が良いわけではないが、自社の強みを活かして新規事業に取り組んでいる。成長確率を高め、事業が初期段階でもある。
既存事業における新規顧客の獲得をしている企業も先行投資をともなう。事業は赤字にならなくても、利益成長率が鈍化することを多くはある。典型的な例は、国内における小売業やサービス業界の他地域での新規店舗や支店の水平展開。業績が見通しやすく、著者が好む成長戦略。
最後の考察は企業自らが掲げている中期経営計画。公表していない企業もあり。
著者は公表している企業を好む。
理由1 成長速度の参考になる。
理由2 株主を大切にしている証。
中期経営計画を見る上でのポイントは2つ
1企業が公約している今後の成長率
2それを達成するための戦略の妥当性
安全性
黒字倒産もある。
自己資本比率 著者が重視している指標の一つ。30%を目安(あくまで目安なので20%程度でも投資する。)
流動比率120%をベースライン
自己資本比率30%未満、流動比率120%未満でも投資する場合⇒小売などの現金商売で、かつ売上減少リスクは小さい、すでに借り入れが決まっている、
あるいは借り入れ枠がありいつでも借りられる。
投資見送る⇒投資家として中身が把握できない仮払金が多い、あるいは商品在庫が不良化している可能性がある、流動比率が90%未満のとき。
割安
国際的にはPER19~20倍超えたら割高、9~10倍以下であれば割安。
PEGレシオが0.7以下を投資対象に。
PEGレシオ活用の注意点2つ
①ROE7~8%以下はPEGレシオが活用できない。
②景気敏感株にも適応出来ない。
自動車、機械、鉄鋼、非鉄、空輸など。
購入3原則の補足情報(以下が揃っていると好ましい。)
1.経営者が株主でもある。
2.情報開示に積極的
前年実績との差異の説明など。「決算説明資料」で具体的に説明する企業も。著者は「決算説明資料」を半期に一度は開示している企業を積極的と分類。
3.時価総額が200億円以下
著者のスクリーニング
四季報オンラインで、売上・営業利益・純利益で今期予想、来期予想を20%以上に設定(作業効率のため経常利益は後でチェック)。PERは数値設定せず、項目だけを選定してリスト化。
リスト化した候補企業のPERと純利益の伸び率を比較することでPEGレシオを算出。景気敏感株を除外する。
売却の3原則
1成長シナリオが崩れた時
A マクロ環境の構造的変化で成長が鈍化したのか
税制・業界規制・労働市場などをネットや新聞でチェック
だから著者は景気敏感株に投資しない。
B ミクロ環境の成長前提が崩れたのか
①市場ニーズに変化が起きたのか
同業他社複数の決算の売上が落ち込んでいれば売却
②商品開発力の強みが落ちたのか
競合他社と比較して売上落ちていないかチェック
ネットの評判も参考にする。
BtoB企業ならIRへ問い合わせする。⇒売上停滞理由、競合他社商品と比較した強みと弱みを聞く。
③販売力の強みが落ちたのか
販売力を強みにしている会社は決算資料などで
販売ネットワークの進捗を公表していることが大半。公表しなくなったら要注意。
④マーケティング・マネジメント力が落ちたのか
短期的には変化しない。社長交代で変化が起きることは多くある。傾向としてオーナー社長・カリスマ社長が退いたとき。タイムラグがあるので1〜2年で業績落ちたら売却
⑤成熟期に入ったのか
業界の成長鈍化、加えて競合の数も増加投資キャッシュフローが減少している場合売却。
⑥経営改革が停滞したのか
C 購入時に想定したリスクが台頭したのか
2株価が割高になった時
PEGレシオ1.7で売却
3キャッシュポジションが少なく、保有銘柄よりよい銘柄を見つけたとき
売却3原則の補足情報
①経営陣が保有している自社の株を売却
売却理由は投資家にはわからないので、より厳しく決算資料などをチェック
②IRの担当者が曖昧は要注意
③増資の主目的が借入金の返済は注意が必要 成長率が鈍化していれば売却対象。
著者の購入・売却実例も紹介されている。
1実践こそが身になる。
まずは投資に充当する金額の10%程度で2、3年運用。
2売買の意思決定頻度
著者は3ヶ月に1度以下の2つチェック(30分/1企業)
①四半期ごとに発表される四季報オンラインの確認⇒新しい企業に投資する機会がないかチェック。市場が暴落したときに候補企業を選定しておく。
②四半期ごとに発表される保有株の決算資料の確認⇒売却3原則チェック
毎日は以下の2つチェック(5分〜10分)
①保有銘柄と投資候補銘柄から新たなIR発表がないか
②保有銘柄と投資候補銘柄の株価
3保有銘柄の適正数
著者は4〜5銘柄。これ以上増やすと管理に時間を要す。投資力がつくと集中投資は有効。
4一企業あたりの投資割合
資産の10%を少なくとも一企業に投資。影響がある。自信があれば10%でもできるはず。
5キャッシュポジション
著者は最大100% 購入・売却の3原則のみで判断。
6信用取引
プロの投資家になるまでは行わない。
著者は平時なら活用しない。暴落時に扱う。信用枠の20%を上限に市場の暴落時に投資を行う。
投資に使うツール
証券口座 著者はSBI証券 >>>>>SBI証券で 口座開設
お絵描き帳 考察を箇条書き・銘柄検討
ネット環境とパソコン 総研などの業界調査資料を閲覧など
計算機 普通の計算機使用。複利計算はスマホ
スマホ 新聞・株価など移動時間にチェック。
日経新聞 マクロ環境の流れを把握
四季報オンライン
カレンダー 決算発表日・四季報発売日を書き込む。
バインダー 保有企業の関連資料をファイリング
一、決算短信
ニ、決算説明資料
三、その他の主要な発表(M&A、業績修正発表など)
エクセル 保有企業の業績管理に使う。決算発表の際に数値を入力するだけ。
大学ノート 売買の記録。購入した銘柄、日付、購入理由、売却日、売却理由、投資結果、そこから得られた学び
愛読書 『ピーター・リンチの株で勝つ』
『お金からの解放宣言』の感想
どのように株式投資しているかと実践方法を公開している書籍は多数あります。ただ購入・売却タイミングを書かれているものはなく。売却どころかポートフォリオ・最初の投資割合まで書かれた再現可能な投資本に出会ったのは初めて。
著書に基づいて銘柄選定
読後、すぐに再現を試みました。
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またね。